副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療

いろいろな治療法

いろいろな治療法

投薬

急性副鼻腔炎の場合は、炎症を抑える消炎酵素薬、粘り気のある鼻水は膿を出しやすくする働きのある去痰剤、痛みひどい場合は解熱鎮痛薬などとともに、細菌をやっつけるために抗生物質を服用します。抗生物質(マクロライド系を除く)を続ける期間は通常は長くても3週間以内が一般的です。
慢性副鼻腔炎の場合は、少量の抗菌薬を長期間飲み続ける特殊な治療法(マクロライド少量長期療法)が行われる場合もあります。その他に、痰や鼻水を出しやすくする薬などが使われます。
嗅覚障害がある場合や鼻茸(鼻ポリープ)がある場合などに点鼻薬も併用することがあります。

短期的にステロイドを処方することもあります。
急性の炎症で痛みが強いときや、眼の合併症を抑える目的で数日間の使用する場合、あるいは好酸球性副鼻腔炎のような再発しやすい副鼻腔炎には一時的(1~2週間)に使うことがあります。
また当院では症状に合わせて漢方薬での治療も行っております。

鼻吸引

局所麻酔薬や血管収縮薬を鼻に噴霧して短期的に鼻腔と副鼻腔をつなぐ穴のまわりの腫れを抑え、吸引管という管でたまった鼻水を吸引して取り除く「鼻吸引」を行うことがあります。この吸引ではかんでも出てこない鼻水や副鼻腔に貯留した膿を吸い出すことができます。
鼻吸引に続いて、ネブライザー療法を行うと効果的です。
鼻吸引とネブライザー療法を投薬と合わせて行うことで治療効果が上がることが期待できます。
特に症状がひどいときは、頻回にこの鼻吸引を行うことをお勧めすることがあります。

ネブライザー治療

微量の抗生剤やステロイド剤などを含んだ薬液を霧状にして、鼻から吸い込み、副鼻腔に送り込みます。幼児や高齢者でも簡単に行える方法です。ステロイドを使用することがありますが使用する薬の量はごく少量であること、全身への薬の影響も少ないため副作用が起こりにくく、副鼻腔炎の改善が期待できる治療法です。
ネブライザーを行う前に鼻の吸引処置をして、鼻をきれいにしておくことがポイントです。

鼻洗浄

上顎洞に炎症がある場合には、鼻粘膜に麻酔をかけて上顎洞に針を刺したり、細い管を鼻腔から副鼻腔に挿入したりして、生理食塩水を注入して上顎洞を洗浄する「鼻洗浄」を行うことがあります。洗浄した後に、抗菌薬などを注入することもあります。

手術による治療

服薬や鼻吸引、ネブライザーなどの処置を続けて行っても慢性副鼻腔炎が治らない場合には入院して手術で炎症を起こしている粘膜や鼻ポリープを取り除くことがあります。
手術の場合の入院期間は1週間~10日と言われています。
以前は、鼻の中などから切開を行う手術が主流でしたが、最近は、内視鏡を使った手術(内視鏡下鼻内副鼻腔手術: )を行うことも増えています。
内視鏡下鼻内副鼻腔手術は、外科手術に比べ患者さんの体の負担は軽くなりますが、術後も投薬や処置を続ける必要があります。
いずれにせよ、術後も副鼻腔炎が再発しないようしっかりと経過観察を続けましょう。特に鼻茸は再発することも多く注意が必要です。

副鼻腔炎の漢方治療について

副鼻腔炎は漢方薬を用いて治療する事が出来ます。同様に耳鼻咽喉科疾患でアレルギー性鼻炎や鼻ポリープが似たような症状 を呈しますが、それぞれで大きく生薬の配合が変わりますので、正確に診断を受けてから漢方薬治療を施すこととなります。 漢方薬は、症状と体質の問診によって配合が決められます。症状は上記の通りですが、体質では、

  • 免疫力が弱く、風邪を引きやすい
  • 元々鼻が弱く、蓄膿症になりやすい
  • 食生活が悪い(外食ばかりしている、野菜不足、偏食である)
  • 血行が悪く、冷え症で、水分代謝が悪い(血行が悪い、冷え症だ)
  • 胃腸が弱い
  • ストレスで精神的に疲れがたまりやすい

などが挙げられます。血液や免疫などの、健康体の基礎的な土台を整えることが治療の根本となります。現代の治療では症状が現れたら、その症状を抑え込むという治療を繰り返しますが、症状の根源的な原因を解消しようと言うのが漢方医学の考え方なのです。症状を抑えつつ根本の体質をも改善するという治療法なのです。
漢方薬は西洋薬とちがって副作用が少ないものなので、根源的治療のために長く付き合う事が出来るのも優秀な点です。
しっかりとしたカウンセリングを元に、その人の症状に合わせて生薬を配合し、飲み続けることで症状を軽減し、同時に体質を改善していきます。

副鼻腔炎の漢方治療については当クリニックの運営するサイト「耳鼻科での漢方治療がよくわかるガイド」を参照ください。

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