副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療

慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎

「急性副鼻腔炎」の症状が改善せずに長引き、目安として8週間から12週間以上続くと、昔からよく言われる「蓄膿症」「慢性副鼻腔炎」と診断されます。 「たかが鼻づまり」とか「そのうち治るわ」などと放置しているうちに慢性副鼻腔炎になってしまうことも少なくありません。

慢性副鼻腔炎の原因

慢性副鼻腔炎の原因としては、急性副鼻腔炎が治りきらず慢性化するものが代表的です。 しかし慢性副鼻腔炎になるのは、急性症状の延長ばかりとは限りません。 他にも原因となるものは、ハウスダストや花粉症などのアレルギー性鼻炎などが原因だったり、鼻の粘膜が厚くなって詰まってしまう肥厚性鼻炎など、様々な原因で慢性副鼻腔炎となります。 また気管支ぜんそくや慢性気管支炎、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎など、気管支に慢性の炎症が続く病気と慢性副鼻腔炎をあわせ持ったものを「副鼻腔気管支症候群」と呼びます。この副鼻腔気管支症候群になると、免疫力が下がったり、細菌に対する気道の防御機能が低下することにより慢性の細菌感染が起こり、鼻と気管支の両方にさまざまな症状が現れます。 また、虫歯など歯の病気が原因で慢性副鼻腔炎の原因となることがあります。 虫歯を放置していて、頬や歯と関わる「上顎洞」が慢性副鼻腔炎になっていた、といったこともあるので注意が必要です。 (詳しくは「歯と副鼻腔炎」を参照ください)症状が軽いからといって放置しておいていいというわけではありません。 たいていの場合、慢性化する原因は何らかの感染で副鼻腔が炎症を起こし溜まった膿が、本来それが排出されるべき道が閉塞されているため、鼻から排出できずに貯留している状態です。つまり細菌感染した膿が副鼻腔内にとどまり続けているということになります。

慢性副鼻腔炎の症状

「慢性副鼻腔炎」の症状は「急性副鼻腔炎」に比べて軽い傾向にあります。 よくある症状としては鼻づまりが続く・痰・鼻の奥や鼻水からイヤな臭いがする、鼻水が前から出てこず喉に流れて(後鼻漏)口臭・頭痛・嗅覚障害などです。 痛みも急性の場合ほど強くないか、全く痛みを伴わないこともあります。 時には全く鼻に関する自覚症状のない方もいらっしゃって、他の疾患で受診した際や、歯科でレントゲンを撮った際に指摘されて初めて気が付いた、ということもあるようです。 また家族や周囲から口臭を指摘されて歯科を受診したけれど、歯科的には悪いところがなく、耳鼻科を受診してみて副鼻腔炎がわかることもあります。 鼻の自覚症状はないけれど、慢性的に頭痛が続く、集中力の低下、顔面痛などが現れることもあります。 こういった症状は日常生活にも悪影響を及ぼします。学童期のお子さんなら集中力の持続が難しいことが原因で成績が低下する、伸びないなど、大人なら仕事にも影響が出ることが考えられます。そして何より慢性的に続くいろいろな症状のせいで生活の質が低下してしまうのが問題といえるでしょう。

慢性副鼻腔炎の場合、合併症の危険性も高まります。 慢性症状が悪化していくと、例えば鼻の粘膜がポリープを作る「鼻茸(はなたけ)」、鼻茸から「アスピリン喘息」という特殊な喘息の発症、中耳炎の発症など、最悪は脳に悪影響がでることもあります。(詳しくは「合併症」を参照ください) できるだけ早めの受診と根気よく治療を続けていくことが大切です。

慢性副鼻腔炎の治療法

急性副鼻腔炎と同様に副鼻腔内に溜まった膿を吸引し、合わせてネブライザー治療を行います。 また粘性の鼻水・膿を出しやすくする薬の服用、マクロライド系の抗生剤の少量長期服用も有効です。 抗生剤の長期服用に抵抗感がある方もいらっしゃるかと思いますが、マクロライド系少量長期療法は耐性菌の出現や身体への負担などの副作用はほとんどないと考えていただいていいと思います。 鼻茸(鼻ポリープ)がある場合や嗅覚障害を合併している場合はステロイド点鼻薬を併用します。 症状が慢性化しているため、治療にも時間がかかることが多く、根気強く治療を続けていくことが重要です。 医師の服薬や治療の指示をしっかり守り、自己判断のみで服薬を止めたり、治療を止めたりしないようにしましょう。
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