副鼻腔炎(蓄膿症)の症状と治療

術後性頬部嚢胞

術後性頬部嚢胞

昔、蓄膿の手術を受けたことがあり、最近、鼻や頬の違和感や、痛くなることがある症状がある方は、術後性頬部嚢胞の可能性があります。あまり聞きなれない名前かも知れませんが、文字通り、手術を受けた部位に長期の経過を経て、液体の袋(嚢胞)ができてしまい、さまざまの症状を起こす病気です。

術後性頬部嚢胞の原因

以前に蓄膿の手術をされたことの患者さんの中には、早くて数年、通常は10~20年の経ってから、頬が腫れたり、痛くなったりといった症状が出てくる人がいます。
現在、副鼻腔炎(蓄膿)の手術は、内視鏡で行うことがほとんどですが、昔は、口の中から行っていました。上くちびるの裏を切って、頬の骨を削り、上顎洞の膿を出すとともに中の粘膜を取り除くという手術です。(上顎洞根本手術) 手術の後、時間が経ってから、上顎洞の内部にわずかに残った粘膜が増殖して、液体の袋状のもの(嚢胞)が形成され、腫れてくることがあります。そこにばい菌の感染や炎症がおこることによって症状が出てきます。

術後性頬部嚢胞の症状

頬の周囲の不快感や、痛み、歯の痛み、あるいは頬部の腫脹といった症状が主な症状です。最初は違和感程度であっても、何度か繰り返すうちに、痛みが強くなったり、頬の周囲が腫れるといった 症状が出てきます。
鼻水、鼻づまり、咳、痰などといった他の副鼻腔炎に見られるような症状はあまりありません。大 きさや出来た場所によっては、眼を圧迫して眼球が突出する、物が2重にみえる、などの症状が出 ることがあります。
過去に手術を受けたことがあるという既往歴があれば、前述した症状から、診断は簡単に推測でき ます。確実に診断するには、X線検査やCTなどの画像検査によって上顎洞の嚢胞があるのを確認 します。

術後性頬部嚢胞の治療法

頬の腫れが軽い場合、あるいは痛みも軽度、あるいは違和感程度であれば、抗生物質や鎮痛剤内服などお薬による治療で症状は軽快します。前述のように、腫れや痛みを何度も繰り返してしまう場合には、手術加療を考えていくことになります。必ずしも症状が出たときには手術が必要というわけではありませんので、適時、薬で様子をみるのか、手術を行うのか相談をさせていただくことになります。
手術が必要となった場合、嚢胞の位置や個数によって方法もいろいろあります。 以前に受けられた蓄膿の手術と同じように、上くちびるの裏を切って嚢胞を取り除いたり、液体を破って開放する方法はその一つです。

昔の蓄膿症の手術を受けられた方に手術のことをお伺いすると、苦笑いしながら、「あれは辛かった」、「二度と受けたくない」とい う方も多いようです 昔の手術は、口を大きく開けて唇を引っ張られ、トンカチで骨割られ、副鼻腔の粘膜を取り除く、それも局所麻酔で行われることが多 かったため、痛みや恐怖感、あるいは術後顔が腫れあがるというイメージをお持ちのかたもいらっしゃるかもしれません。 現在は内視鏡を使って、患者さんにより負担の少ない手術も行われています。鼻の孔から、腫れた副鼻腔の粘膜を一部除去し、副鼻腔 にもともとある自然口を広げたり、下鼻道側壁に穴をあけるなどして、換気を良くし、あとは薬物治療の併用する方法です。 嚢胞のある部位や個数によって、術式も異なりますので、主に画像所見によって手術の方法も決定されます。

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